こんにちは!
maioメディア営業の樋川です。
昨年12月、このニュースをご覧になった方も多いのではないかと思います。
「中国がゲーム認可を再開、業界に今年最後の大きな朗報」https://jp.techcrunch.com/2018/12/22/2018-12-20-china-restarts-game-approval-process/
中国では2018年8月より、新作ゲームの認可が凍結されており、新たなタイトルをリリースできない状態でした。
この度凍結が解除され、2019年に入ってからもすでに4回程(2019年1月27日時点)新作ゲームの承認が行われました。
しかし、1月24日の承認分までは中国大手企業のテンセントやネットイースのタイトルの承認はされておらず、また凍結解除以降未だ国外タイトルで承認されたものはありません。
このような出来事に象徴されるように、ゲーム市場において政治的な規制が強い中、中国では2018年上半期の時点でゲーム市場規模としては世界で1位とされていました。
今回はこのような中国のゲーム市場について理解を深めるべく、まとめていきたいと思います。
新作ゲーム認可凍結の経緯とその影響
まず、冒頭で触れたゲームアプリ認可の凍結問題の経緯について説明させていただきます。
昨年2018年に遡りますが、中国当局が8月から中国国内で実施していた「グリーンチャンネル」と呼ばれる暫定的な認可プロセスによるゲームライセンスの発行を終了したと、関係者が明らかにしたとされています。
これにより中国国内外のゲーム企業は新たなゲームタイトルをリリースする事ができなくなりました。
中国当局がこのような措置をとった理由としては、暴力やギャンブル、センシティブなテーマに関連していないかを審査する方法を見直すと決めた為と報じられています。
一部では同年9月には凍結は解除されるという予測もされておりましたが、想定以上に長引きしばらく新作ゲームが認可される事はありませんでした。
この凍結措置により中国国内のみならず国外のゲームメーカーの株価が下がるなど、全世界に大きな影響を与えた出来事になります。
また、それにより2018年の中国市場規模の成長率は15.4%と2018年以降最も低い水準となりました。
参考:https://chinagamenews.net/market-info-70/
中国のスマートフォンゲーム市場規模
2018年の中国のスマートフォンゲーム市場売上規模は約2兆1433億円(1339.6億元)で、またユーザーは6.05億人にのぼります。
最近では米国に次ぐ世界で2位の規模に下がったと報じられている中国市場ですが、2018上半期の発表では、ゲーム市場規模ランキングで世界1位とされていました。(コンソール・PC含む)
参考:https://switchsoku.com/gossip/24552
近年、中国の市場規模が世界を席巻する規模にまで急成長している事は多くの方がご存知であるかと思いますが、その独特な市場についてはあまりよく知らない、という方もいらっしゃるのではないかと思います。
簡単に、日本市場と比較した際の大きな違いをいくつか紹介致します。
『ゲームのリリースに政府の承認が必要』
冒頭で述べたように、新作ゲームをリリースする為に政府の承認が必要であり、そのプロセスが非常に複雑。
『Androidがスマートフォン市場の86%を占めている』
残り14%ユーザーがiPhoneを利用している。
『Google Playがない』
代わりに、テンセントやバイドゥなど大手のAndroidアプリストアや、中小規模のストアが無数に存在している。App storeは日本と同様に利用可能。
などなど、日本のスマートフォンゲーム市場と異なる特徴が存在します。
中国ゲームの海外進出状況
さて、ここまでの説明で、中国市場は日本とは異なった市場であることをお伝えできたかと思います。
ただ、中国市場は国外から見るととても特殊なように見えますが、一方でここ数年では中国企業のゲームを日本のアプリストアで見かける機会も増えてきたのではないかと思います。
規制の影響もあるのか、中国国外の市場を狙ってローンチされた中国ゲームの売上規模は成長しており、2018年の年間海外向け中国スマホゲームの総計売上は37.7億USドルであったとの事です。この売上は2017年と比較して38%増加した形となります。
ちなみに、グローバル向け中国ゲームタイトルの売上TOP10は以下のような順番になっております。
『王国紀元』/『荒野行動』/『火銃紀元』/『Clash of Kings/クラッシュ・オブ・キングス』/『King of Avalon/キング・オブ・アバロン』/『PUBG Mobile』/『Mobile Legends/モバイル・レジェンド』/『黒道風雲』/『Idle Heroes/アイドルヒーローズ』/『Castle Clash』。
さて、対日本における売上はどうでしょうか。
2017年のデータになりますが、中国ゲームの日本総売上は417億円で、日本ゲームでの中国総売上である307億円を上回っております。
参考:https://www.inside-games.jp/article/2018/06/07/115220.html
スマートフォンゲーム市場規模としても世界最大級である日本をターゲットとし、外資企業が展開していく事は自然な流れだと思います。
中国に関してはさらに、自国で新タイトルのリリースができない、または承認に時間がかかるという理由で国外展開の動きを強めていく可能性はあると思われます。
まとめ
中国政府の承認再開により、2018年12月に80タイトルが承認されたことを皮切りに、新たなタイトルの承認が行われている現状ですが、一方で大手テンセントやネットースなど大手企業の新規承認タイトルは少なく、今後の動向は未だ読みづらい状態かと思います。
テンセントやネットイースなどの大手が新規承認タイトルが少ない事から、それら大手のタイトルのグローバル展開はより加速していくかもしれません。また、中国国外のタイトルが承認されていない点から、中国国外から中国市場に新規参入するにおいてはまだ厳しい状況とも言えるでしょう。
ただ、世界のゲーム市場規模の大部分を占め、かつ6億人以上ものスマートフォンユーザーのいる中国が中国国外から見ても引き続き重要な市場である事は変わりないです。
引き続き、今後の市場動向について、また他国に与える影響について注目していきたいと思います。
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敦史樋川
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