アドネットワーク広告をはじめ、デジタル広告においては広告配信に関する様々なデータが可視化されています。
impやCTR、CVR、動画広告においては視聴完了やVTC(View Through CV)など、広告費の投下に対して高い費用対効果を実現するためには、これらのデータと向き合いながら日々PDCAを回していく必要があります。
指標の一つに「CTVR」というものがあります。
maioではCTVRという指標をみてクライアントの目標に合わせた運用をしておりますが、この指標が分からないとお問合せをいただくことが多いです。
今回はこのCTVRを易しく分かりやすく説明し、どういった形で広告運用の分析に活用していけばいいのかご紹介できればと思っています。
CTVRとは
CTVRを理解する前に、デジタル広告の基本的な指標であるimp、CTR、CVRを理解しなければなりません。
クリック課金型のアドネットワークを運用されたことがある方にとってはこれらは馴染みのある指標かも知れませんね。
imp
impは、impression(インプレッション)の略であり、広告が掲載された回数のことを指します。
例として、WEBサイトやアプリにユーザーが訪れて、広告が1回表示された場合、impは1とカウントされます。
広告枠が複数ある場合には、それぞれの広告が表示される度にカウントがされます。あるWEBサイトの記事(ページ)の中に広告枠が3つ設置されており、それらが全てユーザーと接触した場合、impは3とカウントされます。
CTR
CTRは、Click Through Rate(クリック・スルー・レート)の略であり、広告がクリックされた確率のことを指します。
例として、広告が100回表示され、1回クリッククリックが発生した場合、CTRは1%になります。
CTRが高ければ、その広告はユーザーや配信先と親和性が高く、反応の良い広告と見なすことができます。
通常、クリックした先には商品のLPやアプリストアが設定されているため、ユーザーに興味・関心を持たせ流入させることができた割合とも言えます。
CTRを改善させるには、広告のデザインや構成を変更してみたり、より親和性の高いユーザーや広告枠へ広告配信を行えるように運用をチューニングすることが必要になるでしょう。
クリック課金型のアドネットワーク広告の場合、CTRを高くすることができれば、CPC(クリック単価)を高くしなくても、広告の掲載率を上げることができます。
CVR
CVRは、Conversion Rate(コンバージョン・レート)の略であり、広告主のサイトやストアに訪れたユーザーのうち、成果が発生した確率のことを指します。
成果は通常、商品の購入やアプリダウンロードが設定されていることが多いです。
例として、100人のユーザーが商品ページやアプリストアに訪れ、そのうち10人が商品の購入やアプリのダウンロードを行った場合、CVRは10%になります。
CVRを改善するためには、商品ページやアプリストアの紹介文などを変更して、より良い反応を得れるようにすることも必要です。
CTVR
CTVRはCTRとCVRを掛け合わせた指標になります。
CTVRが示す指標は、「impに対して、どれくらいの割合で成果が発生したか」です。
CTR × CVR = CTVR
例えば、CTRが1%、CVRが10%と仮定した場合、CTVRは0.1%になります。
CTVRはimpに対して、どれくらいの割合で成果が発生したかを指します。impを10,000と仮定すると
10,000(imp)×0.1%(CTVR)=10(CV)
となります。
つまり、10,000回、広告掲載されたうち、最終的には10の成果(CV)が発生した。ということが分かります。
広告費の投下に対して費用対効果を最大化するためには、このCTVRを最大化させることが必要になります。
CTRだけ、またはCVRだけを改善できても、思った通りの成果を得られることはできないかも知れません。
maioでCTVRを考えてみる
では、maioを活用した広告出稿を例として、ケーススタディでCTVRを理解していきましょう。
maioとは
maioとは、アプリに対してフルスクリーン型の動画広告を配信できるアドネットワーク広告です。
広告フォーマットは動画リワード広告を中心として提供しています。今回はこの動画リワード広告を例にして考えてみます。
動画リワード広告はユーザーにアプリ内インセンティブを付与する代わりに、30秒程の動画広告を視聴してもらう広告フォーマットです。
課金型はCPCV(視聴完了)になり、動画広告が視聴完了した段階で課金がされます。
広告配信導線としては、
①ユーザーが動画広告の視聴を選択
②動画広告の再生
③再生完了後、エンドカードと呼ばれるバナーが表示
④バナーをクリックした場合、商品LPやアプリストアに遷移
つまり、maioの広告運用を最適化するためには
1.視聴完了後のエンドカードのCTRを高くし、ユーザーの流入数を増やす
2.CVRを高くし、商品の購入数やアプリのダウンロード数を増やす
ことが必要になります。
特にmaioは視聴完了型の課金モデルになるため、クリックされてもされなくても課金が発生します。
クリック型のアドネットワーク広告と比較して、CTVRを高くすることが費用対効果を最大化するためにより重要になると言えるでしょう。
ケーススタディでCTVRを理解する
maioを活用した広告出稿を実施しているゲームアプリクライアントをケーススタディとして設定します。
男性ユーザーをターゲットにしたゲームアプリを運営するクライアントは、新規ユーザー獲得施策としてmaioを活用したプロモーションを実施しました。
目標として獲得単価(CPI)は600円と設定され広告運用がされています。
1週間の配信の結果、CPCV(視聴完了単価)は1円、CTRは0.5%、CVRは20%となっており、CTVRは0.1%、CPIは1,000円となっています。
クライアントからは広告運用の改善を求められており、CPIを目標値まで下げる必要があります。
このような状況ではどのような施策が必要になるのでしょうか。
まずはKPIを整理する
まずは広告運用において影響を与えるKPIを整理してみましょう。
今回のケーススタディの場合、関係するKPIは
■CTR
■CVR
■CPCV
■CPI
になります。
ケーススタディの事例では、CTVR(CTR×CVR)、CPIを押し上げる要因となっているようですね。
CTRを上げる
ユーザーが商品を購入してもらうにも、アプリをダウンロードしてもらうにも、まずは商品やアプリを認知させ、興味・関心持ってもらうことが必要です。
CTRが低い場合、その広告ではユーザーに興味・関心を持たせることができていないことが考えられます。
その場合の改善策としては大きく三つです。
■広告の内容を変更する
広告の内容を変更することで、CTRを大きく改善することができます。よって広告のABテストを行うことが重要です。
商品やアプリの要素を因数分解し、それぞれの要素を訴求する広告を作成し、どれが良い反応を得ることができるのか追求する必要があります。
ユーザーの流入数を多くするこで、見込みユーザーの母数を増やしていくことが可能です。
今回の場合、ゲームアプリクライアントは男性ユーザーをターゲットとしているため、男性ユーザーに訴求力の高い広告を考える必要もありますね。
■配信先を見直す
広告の内容を変更したとしても、そもそもターゲットユーザーにリーチができていなければCTRを改善させることは難しいかも知れません。
ユーザーの反応が良い配信先に対しては投下する予算を大きくし、反応が悪い配信先に対しては投下する予算を小さくすることで、キャンペーン全体のCTRが改善に向かいます。
今回の場合、ターゲットである男性ユーザーがより多く滞在している配信先に多くの予算を投下していくことが重要です。
逆に女性ユーザーが多いような配信先に対しては予算の投下を縮小する必要もあるでしょう。
■効果の良い配信先のimpシェアを高くする
効果の良い配信先のimpシェアを高くすることで、ターゲットユーザーへのリーチ数を増やし、CTRを改善することができます。
親和性の高いターゲットユーザーが滞在しているメディアのimpシェアを高めるような入札やメディアとの交渉が必要になります。
CTRは0.1%でも改善されただけでも全体のパフォーマンスに大きな影響を与える
CTRを改善するといっても、どれくらいのインパクトがあるのかイメージがつかない方もいるかも知れません。
ケーススタディのゲームアプリクライアントが、例えば、月額500万円の広告出稿をしたと仮定しましょう。
CPCVが1円なので、impは5,000,000、CTRが0,5%、CVRが20%なので
予算:5,000,000円
imp:5,000,000
CTR:0.5%
CL:25,000
CVR:20%
CV:5,000
CTVR:0.1%
CPI:1,000円CPI1,000円で5,000CVという結果になりました。
CTVRは0.1%なので、1,000impあたり1CVが発生していることになります。
それでは、CTRが0.1%改善された、CTR0.6%の場合はどうなるでしょうか。
予算:5,000,000円
imp:5,000,000
CTR:0.6%
CL:30,000
CVR:20%
CV:6,000
CTVR:0.12%
CPI:833円0.1%、CTRが改善されただけでクリックは5,000CL、CVは1,000増加し、CPIは177円、約17.7%下がりましたね!
CTVRも0.12%に改善されました。
このように、CTRを少しでも改善することで全体のパフォーマンスがガラリと変化することが分かります。
CVRを上げる
キャンペーンの成功のためにはCTVRを高くする必要があります。
CTRを高くしただけで、ユーザーが商品やアプリをダウンロードしなければビジネスは成り立たないでしょう。
■広告の内容を変更する
広告の内容を変更することで、CTRだけでなく、CVRも改善されることがあります。
分析においてはCTRだけでなく、CVRの数値の変化もチェックすることが必要です。
CTRだけが高く、CVRが低い場合、広告の内容と商品LPやアプリストアの紹介文に乖離があり、ユーザーが戸惑ってしまっていることも考えられますね。
■商品LPやアプリストアを最適化する
CTRが高くても、ユーザーが購入やダウンロードまで至らない場合、商品LPやアプリストアの紹介文なども改善する必要があるでしょう。
商品LPの文章や画像、アプリストアのロゴやスクリーンショット、紹介文など、要素分解してそれらに関してもABテストを行い、CVRを改善していくような施策が必要です。
■配信先を見直す
配信先によっては、CTRは高いが、CVRが低いメディアも存在します。逆にCTRが低いがCVRが高いメディアも存在しています。
広告には反応するが、商品の購入やアプリのダウンロードはしないというユーザーが多かったり、広告に反応することは少ないが高い確率でCVはするユーザーが多いメディアです。
CTRが高くてもCVRが低ければCPIを目標値に近づけることは難しいでしょう。
CTRだけでなく、CVRを改善させ、CTVRを上げることが必要になります。
■効果の良い配信先のimpシェアを高くする
効果の良い配信先のimpシェアを高くすることで、ターゲットユーザーへのリーチ数を増やすことは、CTRだけでなく、CVRも改善させるでしょう。
CVRは0.1%改善あたりのパフォーマンスの向上は限定的だが、施策により大きな改善が見込める
CVRはCTRと比較すると、0.1%改善あたりどれくらいのパフォーマンスが改善できるのでしょうか。
予算:5,000,000円
imp:5,000,000
CTR:0.5%
CL:25,000
CVR:20.1%
CV:5,025
CTVR:0.1005%
CPI:995円CPI995円で5,025CVという結果になりました。
当然ではありますが、CVRを0.1%改善できただけではインパクトは少ないです。
CTVRも0,0005%上がっただけという結果でした。
しかし、CVRはCTRと比較して改善幅が大きくすることが可能です。
CTRを数%改善することは難しいですが、CVRは施策によって5%から10%改善することができます。
仮に10%、CVRを改善できた場合
予算:5,000,000円
imp:5,000,000
CTR:0.5%
CL:25,000
CVR:30%
CV:7,500
CTVR:0.15%
CPI:666円CVRは改善幅が大きいため、施策により全体のパフォーマンスに大きな影響を与えることが特徴です。
最後に、CTRを0.1%、CVRを10%改善できた場合のパフォーマンスを見てみましょう。
■改善前
予算:5,000,000円
imp:5,000,000
CTR:0.5%
CL:25,000
CVR:20%
CV:5,000
CTVR:0.1%
CPI:1,000円
■改善後
予算:5,000,000円
imp:5,000,000
CTR:0.6%
CL:30,000
CVR:30%
CV:9,000
CTVR:0.18%
CPI:555円
CPIの目標値は600円だっため、パフォーマンスを最適化をすることができました!
CVも4,000CV増えたことにより、よりビジネスをスケールさせることに貢献できています。
この段階になることで、予算をさらに上げ、ユーザーの獲得を加速させることも検討できますね。
CTVRを理解してプロモーションを成功に導く
いかがだったでしょうか?
CTVRが少しでも改善するだけで全体のパフォーマンスの大きな影響があることが理解頂けたかと思います。
CTRとCVRを上下させる要素を把握することで施策を打ち、キャンペーンを成功に導きましょう!
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Daisuke Shigetaka
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